「破局への秒読み ――西暦2000年問題の真実」


世界中が大騒ぎしているのに、日本だけ妙に静かな問題がある。『西暦2000年問題』。……金融機関の不良債権問題と同様、事態が深刻過ぎて、だれも本当のことを口にしないのではないか。そんな疑いの目を、欧米の専門家が日本に向けている。
日本経済新聞 7月14日



 西暦2000年問題――それは、2000年を迎えた瞬間、コンピューターが誤った動作をしてしまうという問題だ。2000年問題は、Y2K問題とも呼ばれている(Y2K……Year 2000)。

 かつて、コンピューター上で『西暦』をデータとして扱う際、記憶容量を節約するために、完全な4けたではなく、下2けただけが使われてきた。

 ところが、この記述だと、1999年から2000年に移行する瞬間、『99』は『00』になる。このとき、コンピューターの中では、西暦2000年の00を1900と混同するなど、様々な誤動作が生じると予想されているのだ。いや、2000年の到来を待つまでもなく、すでに『2000年』という数値を入力したコンピューターに異常が起こっている

 アメリカのあるスーパーマーケットで、客がクレジット・カードを取り出した。店員はいつものように、カードを端末に入れる。しかしその瞬間、店内のコンピューターが停止してしまった。客の持っていたクレジット・カードの有効期限が、2000年になっていたのだ。

 ドイツでも、昨年秋、クレジット・カードの2000年事故が1万件以上起きたと伝えられている。また94年には、日本航空で、2000年に納品される予定の部品発注を、コンピューターが受け付けなかったという問題も起きている。

 これらはまだ単発的な事故にすぎない。しかし、西暦2000年の1月1日には、コンピューターの誤動作による事故が、世界中で同時に発生するのだ。それらは連鎖的に被害を増大させ、未曾有の大災害へと発展すると見られている。






 各国の大統領や首相、有識者たちは、以下のように西暦2000年問題について警告している。


「(2000年問題の)解決には多大な労力が必要で、さらに取り組みを強化する必要がある」

アメリカ クリントン大統領


「この問題(2000年問題)は、人々が思っている以上に広範であり、より緊急の課題である」

イギリス トニー・ブレア首相


「2000年まであと500日を切った。具体的な行動計画を早急に取りまとめなければならない」

小渕恵三首相


「(2000年問題は)間近に迫った大災害です」

技術問題小委員会議長 共和党下院女性議員 コンスタンス・モレラ


「2000年問題は我々の暮らしにとって大した問題ではないかのようなフリをすることをやめよ。根拠のない単なる願望によって、我々はあまりにも多くのものを失う可能性がある」

ドイチェ・モルガン・グレンフェル主任 エコノミストエドワード・ヤルデニ


「すべての対策を完璧にするのは、もはや無理。被害やトラブルを最小限に抑えるような具体策も検討すべきだ」

日本都市企画会議事務局長 片桐達夫


「真実を全部公表すると、国民は食料品から日常の必需品の購入に走り、現金を銀行より引き出して、大混乱になる恐れが大きいので、インタビュー等では気を付けて話をするようにしている」
アメリカ大統領補佐官2000年問題対策協議会委員長 J・コスネキンが非公式に語ったとされる言葉


 西暦2000年問題。そのとき、日本、そして世界で何が起きるというのだろうか。






 今年10月、関西で、電話回線の中継施設に小さなトラブルが発生した。

(NHKニュース)

 大阪市内にあるNTTの電話の専用回線などをつないでいる中継施設でトラブルがあり、銀行のオンラインシステムが止まるなどの影響が出ました。この事故のについて、NTTの関西支社では、中継装置に電気を供給する電源装置が故障したのが原因とみて、詳しく調べています。

 今日午前10時過ぎ、大阪市東淀川区のNTT東淀川ビルにある、全国の電話の専用回線を中継する装置の一部が故障しました。このため、大阪府内と全国を結ぶ銀行のオンラインシステムで使っている専用回線の中継や、大阪府内の110番や119番の中継などに影響が出ました。NTT関西支社で調べたところ、中継装置に電気を送っている電源装置の一つが正常に働かなくなり、電圧は通常よりも10ボルト程度下がるなど、不安定な状態になっていたことがわかりました。このため、NTT関西支社では、事故の原因は、中継装置に電気を送る電源装置が故障して電圧が下がるなどして、中継装置が正常に作動しなくなったものとみて、この電源装置を取り外して、故障の原因を詳しく調べています。

 今日のこのトラブルは、午前10時過ぎに発生し、様々な影響が出ました。


 関西空港では約30分間離着陸不能になり、影響は市民生活にも及んだ。現金自動預け払い機が停止し、一部では110番・119番も不通になった。オフィスではコンピューターのオンラインが停止したため、事務処理は手作業で行った。午後になって徐々に復旧が進んだが、携帯電話は、大阪の一部で今もかかりにくくなっている。






 この事故は、2000年問題とは直接関係ない。だが、西暦2000年には、まさにこれと同じようなトラブルが、世界で同時に発生し、複雑に絡み合い、信じ難いほど広汎な災害となって、わたしたちに襲いかかると予測されているのだ。では具体的に、どのようなトラブルが生じるのだろうか。


■金融機関への影響

 「これは組織全体を破滅させかねない大問題だ」とバンクボストン(全米15位の商業銀行)2000年問題部長 デービッド・アイアチーノ氏は言う。

 日本やアメリカなどの先進諸国では、銀行業務はコンピューターに依存する割合が極めて大きく、2000年問題に対処しなければ、業務そのものが停止してしまうだろうと予想されている。また、アメリカ上院銀行委員会は、99年間分のデータが消失する可能性さえ懸念しており、会計検査局の試算によれば、2000年問題だけで700の銀行が破産の危機に陥るというのだ。

 今年8月に、日銀は、『コンピューター2000年問題に関するわが国金融界の対応状況』という文書を公表した。それにはこう書かれている。

 「2000年問題への対応に失敗すると、支払期日や取引データの管理・確認、金利計算、経理処理が適切に実行できず、預金・貸出や決済などの通常業務に支障が生ずる可能性がある。

 個別金融機関が2000年問題への対応を誤った場合には、決済や取引の相互依存関係を通じて、混乱が他の金融機関に波及する事態も起こりかねない」






■産業への影響

 1996年、ニュージーランドのアルミ精錬会社で事故が起きた。工程のコントロールが利かなくなり、5基の溶解窯(ようかいがま)が過熱崩壊したのだ。

 この事故の原因は、コンピューターの誤動作だった。うるう年である1996年が、平年と間違えてプログラムされていたために、コンピューター660台が異常を起こし、動かなくなってしまったのである。同じプログラムを使っていたオーストラリアの工場でも、ニュージーランドとの2時間の時差ののちに、同じ事故が発生している。

 これらの事故は、コンピューターにとって、いかに日付の情報が大切であるかの証明でもある。西暦2000年には、世界中でこういった事故が発生する危険があるのだ。

 ガートナー・グループマット・ホットル氏は、「この問題で企業の何パーセントが倒産するかを考えると、頭がクラクラする」という。

 大手企業の多くは、プログラムの変更など、初期対応を98年度中に終了し、残りの期間をシステム試験に充てようとしているという。その一方で、中小企業では、現在深刻な不況などが原因して、2000年問題に対する対策に、まだあまり手が着けられていないのが現状だ。このまま放っておけば、2000年を境に、操業できなくなる可能性が高い。

 だが、そうなった場合、大企業の何割かも、引きずられるように経営危機に陥ることになる。中小企業は大企業の下請けとなっている所が少なくない。大企業が下請けを失えば、大企業自体の生産活動も成り立たない。

 投資会社ミレニアム・インベストメント・コーポレーション創立者デニス・グレイボウ最高経営責任者は、「たとえある場所で対応が間に合ったとしても、そこが対応が間に合わなかった供給者や顧客のコンピューターと関係していれば、その混乱のために、対応できた組織でも生産が鈍化したり、停止することがあり得る。……製品流通の世界的な混乱が、すべての工業国における経済不況を引き起こす可能性がある」といっている。

 また、ドイチェ・モルガン・グレンフェル主任エコノミストエドワード・ヤルデニ氏も「7月以降、わたしも(グレイボウ氏と)同様の予測をしてきた」と述べている。






■チップ

 2000年問題への対処を難しくしているものに、ほとんどの産業設備や電子機器などに埋め込まれているマイコンチップ、マイクロコンピューター・チップがある。

 このチップは、世界中におよそ500億個存在しているといわれているが、そのうちの1パーセントから3パーセントが、やはり西暦を2けたで処理している。ところが、マイコンチップはプログラムの修正ができず、しかも数があまりにも膨大であり、その修正は困難を極めている。2000年問題は、今コンピューターのハードやソフトの問題からチップの問題へと移行しているといわれている。

 7月24日の日本経済新聞では、このマイコンチップの誤動作により『カレンダーで制御しているエレベーターや、産業プラントが急停止することも考えられる』と伝えている。






■電気、水道、ガス、電話への影響

 電気や水道、ガスなどの供給システム、そして電話などの通信システムにも、コンピューターシステムと天文学的な数のマイコンチップが使われている。西暦2000年を迎えた瞬間、それらが断たれてしまう可能性もあるのだ。

 事実、ハワイアン・エレクトリック社が、2000年問題が自社の電力供給システムに与える影響をテストしたところ、電力供給システムは止まってしまった。何も手を打たなければ、停電だけではなく、電圧が高まって家電製品が爆発した可能性もあったという。






■石油プラントへの影響

 浅い海の下に巨大な油田が眠る北海。この北海で操業する石油プラントにも、問題が持ち上がっている。

 石油メジャー筋によると、『ロイヤル・ダッチ・シェルやブリティッシュ・ペトロリアムは、石油プラントで稼働しているマイコンチップを交換する作業に追われており、この対策が間に合わない場合、自動化システムが2000年を認識できず、北海の海底油田は原油の生産ができなくなるという恐れがある』という。

 もちろん、日本に原油を供給する中東の油田にも、北海と同じ問題が存在していると見て間違いないだろう。石油が止まれば、それだけで日本のあらゆる産業は麻痺し、電気や水道、食糧など、すべてのライフラインは断ち切られることとなるのだ。






■運輸機関への影響

 2000年問題は、輸送機関にも重大な影響を与える。外国への行き来に頻繁に使われる航空機。現在主力となっている大型旅客機はコンピューターの塊であり、誤動作を起こす危険は高い

 航空機は、一つの誤動作がおびただしい人命を奪う事故へとつながりかねない。それゆえ、すでにKLMオランダ航空など欧米の大手航空会社の中には、この問題を重視し、2000年の元旦に運休することを明言しているところもある。

 航空機よりも深刻なのは船舶だ。海運は日本の生命線である。しかし、タンカーなどの大型船は、少数の乗組員で運行できるよう、高度にコンピューター化されており、2000年を境に航行不能に陥る可能性もあるのだ。

 石油、石油ガス、石炭、天然ガスなどのエネルギーや工業原料も、ほとんどすべてが船で運ばれてくる。たとえ石油プラントが正常に機能しても、海運が停止してしまったら、日本への石油の輸入は断たれる。

 船で輸入されてくるのは、石油や工業原料だけではない。小麦、大豆、とうもろこし、肉類、魚介類などの食糧も、船で運ばれてくる。食糧の多くを海外からの輸入に頼っている日本にとっては、食べ物が全く入ってこない事態も十分に考えられるのだ。食糧流通が崩壊すれば、程なくして食糧パニックが起き、日本全体が飢え死にすることになるだろう。






 このように深刻な要素をはらむ2000年問題は、5月にバーミンガムで行なわれた先進国首脳会議の公式議題としても取り上げられている。これは、2000年問題が確実に起きる問題であるということ、そして世界中がこの問題を深刻な問題として受け止めているということを意味している。

 だが実は、2000年問題の恐怖は、これだけでは収まらない。

 情報処理協会2000年問題作業グループ共同議長レオン・カッペルマン教授は、 「わたしは、大統領が2000年問題のゆえに、全米的、そして全世界的非常事態を宣言してくださることを切望します」とクリントン大統領に公開書簡を宛てた。

 エス・ピー・インターナショナル取締役・情報処理アナリスト・足立晋氏は、「アメリカでは、シカゴやニューヨークが廃墟になってもおかしくないとまで言われています。現にニューヨークから逃げ出すコンピューター技術者もいます」と語っている。


■原発事故

 原子力発電所は、監視も制御もそのほとんどがコンピューターを通して行なわれる。コンピューターの誤動作は、そのまま大事故へとつながりかねない。ひとたび原発で大事故が起これば、チェルノブイリのように周辺地域は人の住めない荒野と化し、日本の広範囲にわたって死の灰が降り注ぎ、人も、水も、食糧も、すべて放射能で汚染される

 次の表は、福井県にある原子炉の一つで大事故が発生した場合の被害を表にまとめたものである。敦賀市では99パーセントの住民が急性死、同じく隣の美浜町でも90パーセント以上が急性死となっている。そして放射能は県境を越え、東京、京都、名古屋などの大都市に広がっていき、数百万の人の健康を奪う結果となる。

★急性死亡者数の予想
(その地域が事故の起きた原発の風下15度の範囲に入った場合)

敦賀市急性死63,822人(99%)
美浜町 急性死 13,194人(90%以上)
武生市 急性死 61,628人(90%)
鯖江市 急性死 32,649人(53%)

★がん死者数の予想

風下90度方向(西風の場合)に関東で 300万人以上
風下135度方向(北西風の場合)に名古屋方面で 約300万人
風下195度方向(北風の場合)に京都大阪方面で 650万人以上

 『だから原発は危ない』などの著書がある田丸博文氏はこう語っている。『1990年以前に作られたコンピューター・チップが危ないといわれているようですが、日本各地にある原子力発電所のほとんどがそれ以前のもの。心配すべき点はいくらでもあるんです。ぜひともしっかりとチェックするだけでなく、99年の12月31日前後には出力を下げるなどの処置を取ってほしいですね』

 アメリカでは、すべての原発に対して、2000年問題をしっかりクリアできているかの報告を提出させており、もしクリアできない場合には、99年の6月をもって、その原発はシャットダウンされることが決まっている。スウェーデンでも、原発の一時停止が考慮されている。

 ところが日本では、99年6月をめどに対策は終了するとして、万一のために出力低下、運転停止などの処置を行なう動きはない。だが、本当に大丈夫かどうかは、非常に疑わしい。電力会社が絶対に安全だと主張し続ける原子力発電所は、実は一つの原発が一年間に平均2件も、放射能漏れなどの事故を起こしているのだ。

 危険なのは日本の原発だけではない。原子力発電所は、中国や韓国でも多数稼働している。特に危険が高いのは、ロシアの原発である。ロシアの原子力エネルギー省は、『実際に問題が発生するまで、2000年問題のバグ修正は開始しない』と主張しているのだ。ヨーロッパ寄りに位置していたチェルノブイリ原子力発電所の事故ですら、遠く離れた日本にまで危険な放射能をもたらした。

もし、日本海やオホーツク海の沿岸付近の原発で事故が起きれば、チェルノブイリのときとは比較にならない、膨大な量の放射能が日本に降り注ぐことになる。そうなれば、日本の国土や水、食糧は強い放射能に汚染され、国民の多くが被曝し、長きにわたってがんや白血病などによる死者が続出することになるのだ。


■軍用兵器

 「国防省が直面している2000年修正作業は、同省がこれまでに行なった作業のうちで最大の、そして最も困難なものとなるであろう。率直に言って、我々はその作業が期限内にすべて終了する見込みはゼロだと考えている」とプログラマー・『2000年の時限爆弾』の著者・エドワード・ユールドンは言う。

 アメリカ軍は、世界中で最もコンピューター化されている軍隊である。兵器の中にも何百万個ものマイコンチップが埋め込まれており、それらが誤動作を起こせば、大災害となることは言うまでもない。

 ところが、連邦政府情報及び技術管理小委員会議長であるホーン下院議員は、97年12月の記者会見で『アメリカ軍はその最緊急任務のコンピューター修正だけでも、21年を必要とするだろう』と語った。つまり、アメリカ軍のコンピューターとマイコンチップの多くは、修正されないまま2000年1月1日を迎えるのだ。

 ある軍関係筋は、国防省が2000年1月1日に何が起こるかを調べるために、核ミサイル地下格納庫のコンピューターの模擬実験プログラムを実施してきたと伝えている。実験の結果は悲惨だった。安全装置の保守機能に全面的な故障が起こったのだ。あるミサイルは完全に動かなくなり、またあるミサイルは点火してしまった。国防省筋によれば、核弾頭が装備された格納庫内のミサイルは、格納庫内で自己爆発するかもしれないという。もちろん、アメリカ以外の国でも同じことが起きる可能性は少なくない。

 では、もしどこかの国で、誤ってミサイルが発射されたら、どうなるのだろうか。

 互いに核を有するインドとパキスタンは、いまだに緊張が続いている。当然、ミサイルは互いの国に向けられているだろう。もし誤って相手国に向けてミサイルが発射されるようなことがあれば、最終的に核戦争へと発展するかもしれない

 日本も安全ではない。核兵器保有国と疑われている北朝鮮は、日本の上空に向けてミサイルを発射したばかりだ。冷戦中、アメリカの同盟国と見なされていた日本に、ロシアの核ミサイルが向けられたままになっている可能性もある。

 だが、日本にとって最大の脅威は、アメリカのICBM、核弾頭を装備した大陸間弾道弾だ。思い出していただきたい。アメリカは戦略ミサイルのターゲットの一つに日本を定めており、アメリカが毎年日本の正確な重力分布を調査しているのは、ICBMが正確に日本の都市を攻撃できるようにするためなのだということを。






■危険日をねらったウィルス攻撃

 2000年問題解決のためには、実はもう一つ大きな難題が残されている。それは、2000年をターゲットとしたコンピューター・テロへの対策である。

 もし、何者かがコンピューターの中に、西暦2000年1月1日にシステムを誤動作させるようなウイルスを仕掛けたらどうなるだろうか。被害を受けた企業や官庁などでは、それが2000年問題によるものなのか、それとも、ウィルスによるものなのか、容易に区別することはできない。

 しかもこれらの工作を行なうのは、単なる興味本位のハッカーだけとは限らない。アメリカの情報機関の報告書によれば、91年ごろからソ連のKGBとキューバの諜報機関が共同で、攻撃兵器としてのコンピューターウィルスの開発を始めているという。もちろん、コンピューターの分野で最先端をゆくアメリカも、同様の研究開発を行なっているだろう。

 彼らにとって、西暦2000年を迎える瞬間こそ、絶好のチャンスなのだ。ばらまかれたウイルスが混乱に乗じて一斉に働き出せば、ありとあらゆる機能がまひする。敵国を政治的・経済的混乱に陥れたり、オイルショック、食糧パニックを人為的に作り出すこともできる。

 それだけではない。コンピューターを使って実際の戦争を引き起こすことも可能なのだ。アメリカの民間科学者団体は、ハッカーによる意図的な軍事指令によって戦争が引き起こされる危険性を警告しているが、これは単なる憶測ではない。実際アメリカ政府は、国防総省のコンピューターが年間16万回以上ものハッカー被害にあったことを明らかにしており、『壊滅的な打撃』の危険が目前に迫っているとの認識を示しているのだ。






 過去、人類は様々な災害に遭遇してきた。地震や洪水など天変地異と呼ばれるもの、疫病、そして戦争。しかし2000年問題は、それらとは異なる、人類が出合う初めての種類の災害なのだ。そしてこれは、各国の大統領や首相、有識者たちが警告するように、確実に起きる問題なのである。

 しかも、コンピューターが誤動作を起こすとされている日付は、実は2000年1月1日の前後にも複数存在しているのだ。


2000年1月1日前後の危険日

1999年1月1日特殊数『99』による誤動作の危険
1999年8月22日
午前0時(日本時間午前9時)
GPS問題
週番号が1024週目に入る瞬間、ケタあふれが起きる
1999年9月9日 特殊数『99』『9999』による誤動作の危険
2000年1月1日最大の危険日
2000年2月29日400年に一度の特殊なうるう年
2038年1月19日
午前3時(日本時間午後0時)14分8秒
UNIX問題 基準時から21億4748万3648秒目でケタあふれが起きる

 人間は一台のコンピューターのスイッチを切ることはできる。しかし、コンピューターシステム全体を止めることは、もはやできない。それは社会システムの停止、ひいては国家存亡の危機を意味する。コンピューターが世界中で狂い始めたとき、日本、そして世界に一体何が起きるのだろうか。そのときはもう間近に迫っている。


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